庭木で開運TOP > ダメな剪定の例
剪定の仕方を知るには,ダメな例を見た方が理解が早いと思われますので,順次,見付け次第,掲載していきます。「失敗に学ぶ」です。
ほったらかしのカイヅカイブキ
最近は植える人がいないと思われるカイヅカイブキです。写真のものは高さ5mくらいです。
1本あたりの幅も2mを超え,一般家庭の庭には収まりきらないサイズになっています。また,手が届きやすい下の方だけ,ノコギリで枝を落としたのも,なんとも不恰好です。
カイヅカイブキは「コニファー類の手入れ」で解説するように,葉の先をまめに摘んで,大きくしないのが理想です。
手遅れになってから慌ててノコギリなどで派手に切ると,その反動でチクチクしたエメラルドグリーンのスギのような葉が出てきます(カイヅカは園芸品種で,強い衝撃が加わる(=急にたくさん切られる)と,原種に先祖帰りすると言われています。)
このチクチクしたスギのような葉は柔らかすぎてハサミで切りにくいばかりか,何度切っても生えてくるので,とてもやっかいです。
カイヅカイブキに限らずコニファー系は,一旦大きくしたら,自然な姿を維持するのは大変です。
それでもコニファーが人気なのは不思議ですが,大きくしないためにも手入れは業者任せにせず,成長を間近で見ている自分自身でタイムリーに行いたいものです。
不自然なネズミモチ
ネズミモチというのは,わざわざお金を払って庭に植えるような品種ではなく,マンションや公園,工場などを新設した際,「とりあえず何でもいいから安いものを植えて,スペースをつぶそう」という時に使われる植木です。
写真のものは,ずっと放っておいたものを,幹の途中で切って,その後に生えてきた新たな枝で形を作ったものと断定できます。
高すぎる木を低く作り直したとも言えるでしょうが,まったく不自然です。まぁ,癒されるというより,木が持つ力強さに感服という景色です。
ネズミモチに限らず,常緑樹を暖かい時期に幹の途中で切ると,こういった展開になります。
四角い刈込
一見,どこにでもあるサツキの刈込に見えます。しかしこれは,ユキヤナギです。こうした仕立て方をよく見ますが,私には大変,違和感があります。
ユキヤナギは棒状に伸びた枝に小さな花をたくさん咲かせます。写真のように刈り込むと花の数は少なくなります。
ユキヤナギは,その名が示すとおり,しだれるように枝を残しましょう。もし,株が大きくてジャマだというなら,落葉期に地際ですべて切り取りましょう。またすぐに生えてきます。
コデマリも同様です。ユキヤナギについては別のページも御参照ください。
ワイルドなオリーブ
平和の象徴だからか,玄関前のシンボルツリーとして最近,よく見かけるオリーブの木です。
写真のものは大きすぎて葉っぱが写っていませんが,枯れてはいません。オリーブは10m以上になるので,剪定する必要がありますが,素人がバランスよく,自然風に仕上げるのは至難の木だと思います。
丸や四角に刈り込むには,枝打ちが荒すぎて向いていません。写真のようにゴツゴツとなる前に,枝を抜いて柔らかさを保つ必要があります。
逆立ちしたイヌツゲ
けっこうよく見かけるパターンです。素人には何が変なのかさえ分かりません。初めて刈り込みをする方が,やりがちな仕上がりです。
こうした刈込の仕方を,「玉散らし」と言います。たくさんの玉があちこちに散っているように仕立てるからです。
イヌツゲ,マキ,モチノキ,ヒバ類などで見られます。しかし本来,適当に丸く刈ればよいというものではなく,一番上の玉をできるだけ薄く小さくして,下へ行くに従って厚く大きくしていくのが正道です。
写真のイヌツゲは一番上が,もっとも大きい「頭でっかち」です。自然界に生えていたら強風で倒れそうです。また,庭にあったとしても,今にも倒れそうで,癒されるどころか,緊張してしまいます。
木は上部の方が成長が早いため,すべての枝を毎年同じように刈り込んでいくと写真のような仕上がりになります。こうならないためには,上の方は深く(強く),下の方は浅く(弱く)刈ることです。上の方の枝は,春~初秋なら,葉がなくなるくらいの深さで刈り込んで,「棒状」になっても,また復活します。
シャラの木はお手柔らかに
一頃,雑木の代表格としてシャラの木が街のあちこちに植えられました。柔らかな枝ぶりと独特の幹が特徴の木ですが,素人には手入れが難しい木でもあります。
写真のように幹を途中で切断すると,もはやこの木を植えている意味合いが薄れます。どこで切っていいか分からなくなると,ノコギリでばっさりといく気持ちは分かりますが,この後が大変です。
シャラのような雑木は枝の太さが極端に変わって見えることのないように,さりげなく剪定をします。枝分かれしているところで,株元からのラインが不自然にならないよう,「Y字」に枝先を残します。
写真のシャラは今後,一夏ごとに枝が枯れこみ,無残な姿になった末に撤去されることでしょう。
ありがちなキンモクセイ
下枝のなくなったキンモクセイです。よく見かける光景です。たぶん通行の邪魔だとか、車に当たるとかで下枝が切られることが多いのでしょう。実用上はそうした剪定に他者が意見する筋合いはありません。
ただし自然な剪定を目指すなら話は別です。盆栽でも同じですが、下枝は大事にするものです。なぜなら後になって下枝を増やすことは難しいからです。
特にキンモクセイは下枝がなくなりやすいので、地際から生えてきた枝を大切にするなどして株の充実を図ります。
他でも書きました、剪定は中途半端に下枝からやらず、一番上から順に行いましょう。
モヒカンのコノテガシワ
こちらは日本人にもっとも馴染み深いコニファーの1つであるコノテガシワです。エレガンテシマ、オウゴンコノテガシワといった品種もあります。
小さい苗木は手ごろな値段なので生垣やシンボルツリーとして植えたくなります。しかし、コノテガシワはマメに剪定しないと、写真のようになりがちで、町中に妙な形のコノテガシワがあふれています。
コニファー類は枝先に葉を残して剪定しないと、その枝は枯れます。「棒状」にするのはアウトということです。逆に言えばもっとも幹に近い葉だけを残すようにして剪定すれば小さく抑えられます。
写真は通行に邪魔な下枝だけを適宜、切ってきた結果です。こういう樹形になると最早どうすることもできません。可能性として残るのは「モヒカン」にしてウケを狙うことくらいです。
ありがたいけど、ありがたくない
左の写真はイチョウの古木です。古木である証拠に「にゅう(乳)」と呼ばれる「気根」が発生しています。中央左あたりです。こうした気根は、樹皮のコルク質が発達して垂れ下がったもので、昔から子宝に恵まれるように、あるいは子供が健康に育つようにと信仰の対象になってきました。
気根はありがくていいのですが、剪定の仕方は当のイチョウにとってありがたくありません。
街路樹ではお馴染みの風景ですが、毎年同じところで切っているとご覧のように「コブ」だらけになります。プラタナス、ユリノキ、サルスベリなども同じような剪定を見かけます。
あまりにお馴染みなので、これが「よし」とされているかのようですが、違います。毎年同じところで剪定するのは業者の都合なのです。コブになっていれば、技術が足りない職人でも迷わずコブのところで剪定できます。効率を求めた結果、人間の都合でこうした形の街路樹が増えていくのです。
この木何の木?
次の写真をご覧ください。何の木か分かりますか?
ダメな剪定の手本のような仕上がりです。木に対する愛情や風景に対する感性がまったくない剪定で、ある意味、すがすがしささえ感じます。
悪い点をいくつか指摘します。
①歩行者から、木の「切り口」が丸見え。切り口は見えないように角度を考えて切るのが基本。
②切るべき枝(上にまっすぐ伸びている徒長枝、ふところ枝、木の内側に向かっている枝)を切っていないため、切り過ぎた割にはゴチャゴチャしている。
③切る場所が中途半端。おそらく「木バサミ」ではなく「剪定バサミ」を使っているため、きれいに元から切ることができていない。
ちなみにこの木は、シマトネリコです。
サワサワした柔らかさが売りの木ですが、これでは哀れですね。この家の方に話を聞くとシルバー人材の方に切ってもらったようです。
シマトネリコは強い剪定にも耐えるので、この剪定によって枯れることはないでしょうが、このゴツゴツした枝ぶりを眺めて生活するのは不快ですね。