庭木で開運TOP > コニファー類の剪定
コニファーとは球果類のことです。まつぼっくりのような丸い実をつける針葉樹の総称です。ですから,旧家の立派なクロマツや洋館にそびえ立つヒマラヤスギもコニファーです。
ただ,一般的には,クリスマスシーズンになると店先に出回るゴールドクレストのように,外国産でオシャレなもの全般をさすような流れになっていますし,ガーデニングといえば大きめのコニファーを背後に植えて,その周辺に草花を植えること,というイメージさえあります。
植えた当初は手がかからないので良いのですが,町を見渡してみると,大きくなりすぎて倒れそうなものや,下枝だけ切られて,傘のようになっているもの,強引に刈り込まれて,葉が茶色になっているものがあります。
コニファーは一度に大きく手を入れず,こまめに手入れすることで美しい緑を保ちます。コニファーこそ,業者さんに依頼せず,自分で手入れするメリットのある木ではないでしょうか。
多くの教科書にあることですが,コニファーは「手」で剪定するのが最良です。
写真のように,葉の先端が,ピーンと伸びた時期に,指でつまんで摘み取るのです。これをひたすら繰り返すだけなので,時間をかければ素人でもできます(というか,プロにこの方法を頼むと日当がかかりすぎると思われます。)。
コツは,狭いエリアだけを見て摘むのではなく,生垣なら生垣全体を見て,葉の密度が均等になるように摘み取ることです。指で軽く摘み取れる時期に,軽く摘める量だけ取ります。無理にちぎり取ると見苦しくなります。
特に長く伸びていて,木の形を乱すような枝は,仕方ないので,木ばさみで剪定します。このとき,切ったところが棒にならないよう,葉を残して切ります。残った葉で切り口が隠れるように切るのがポイントです。
指でつまんだり,木バサミでやらず,刈り込みバサミや電動バリカン(ヘッジトリマー)でやる方もいますが,そうした方法でやった場合,葉を途中で切ったり,葉がまったく残らない枝が発生し,見苦しくなります。剪定後,時間を経れば元に戻りますが,「切ったその日も自然な姿」というのが私の理想です。
左が手入れ前,右が手入れ後です。
「あんまり変わってないのでは?」と思われますか?
実はそれが大事なのです。写真は生垣ですが,道路にはみ出していた5センチ分を全体的に摘み取ったのです。5センチ刈り込んでも,あまり違和感がないというのが,こうした手入れの醍醐味なのです。また,すぐに伸びますが,伸びたら,またやればいいだけの話です。
←写真は日本中にあふれている杉林の様子です。放置されたスギ林は皮肉にもコニファーの自然樹形の見本になります。コニファーは枝葉が密生するので、指で新芽を摘むだけでは限界があります。数年に一度は、写真の杉林のように、枝葉の間から向こう側の空が見えるように枝を抜くことが必要です。
→枝を抜かないと、こんな風に倒れてきます。台風の翌日になって急に枝抜きされているゴールドクレストを見かけます。危険ですので、杉林の姿を見習って枝を抜くか支柱を立て直すのが賢明です。
←こちらもよく見かける風景です。
①剪定が面倒でとりあえず邪魔な下枝だけノコギリで切った。
②適当に切ったので下枝に葉が残らず、下枝が枯れた。
③下枝に養分がいらなくなったので上部だけ元気になった。
④上の方は剪定が面倒なので放置した。
そういう悪循環が想像できます。
こうならないためには、剪定できる丁度いい高さで幹を切って「芯止め」することが必要です。
→放っておかれ,やがて無残に切断されたヒマラヤスギです。ヒマラヤスギは古くからコニファーの代表として日本各地で頑張っていますが,いかんせん大きくなりすぎるので,公園や団地等では,電線にあたらないよう,あるいは住居に日差しが入るよう,ご覧のような運命をたどることがあります。
ちなみに針葉樹は,こうやって切っても,枝先に少しでも葉が残っていれば生き残りますが,見ていて忍びないものです。