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マツのミドリ摘み

マツの剪定のページでも書きましたが、松の手入れには独特の言い回しがあります。その一つが「ミドリ摘み」なのです。言葉だけ聞くと難しそうですが、なんてことはありません。ミドリを摘むだけ、自分で簡単にできます。

 

1 ミドリとは何か?

作業の前に、「ミドリ」とは何でしょうか?

もちろん「緑」と書きます。

松の手入れ
新芽=みどり

春先にこのような状態の松を見かけたことはありませんか?

 

ツンツン伸びているもの

コレは花ではなく、松の新芽です。

松の新芽のことを洒落込んでミドリというのです。

どんな木にも新芽はありますが、松は特別待遇なのです。

 

このミドリを放置すると・・・

 

こんな感じになります。

「これのどこがいけないの?」

と思う方もいらっしゃるでしょうが、少なくとも庭師的には、いけないのです。

 

このモサモサの状態は長くは続きません。下の方の葉は、ほどなく枯れ落ち、枝先の葉だけが残ります。

 

さらに放置し続ければ、枝はドンドン伸びて、いわゆる「間延びした」格好になります。

 

では、間延びしてはいけないのか・・・

 

間延びすれば、狭い庭では邪魔になります。そこで「枝を切ってしまえ」となりますが、松を含む針葉樹は、葉のないところで枝を切ることができません。半端に切ると枝の元まで枯れます。やり直しが効かないのです。

 

そして、間延びしてはいけない理由がもう一つあります。

それは美的な問題です。そもそも日本の剪定というのは、盆栽の技術に見られるように、大木をミニチュア化することにあります。木の大きさに見合った枝の込み具合が必要なのです。小さな木で細枝がツンツン伸びているものは、心もとなく、落ち着かない景色となるのです。

 

一般に樹姿が素晴らしいとされる松は、枝数がそこそこ多く、かつ、枝と枝の間が適度に詰まっているものです。ミドリを放置した松は庭木としての価値が下がります。

 

2 ミドリ摘みの時期

では、作業に適した時期はいつでしょうか。

地域にもよりますが、それはゴールデンウィークの前後です。

「摘み」ですから、作業は手で行うのが基本です。新芽は柔らかいのですが、時期が遅くなるほどに堅くなり、手で摘むことができなくなります。ハサミを使う方法もあるのですが、作業効率が圧倒的に落ちます。

 

というわけで遅くとも5月初旬には実施したいものです。また、そもそも、固まってしまった新芽はミドリとは呼ばなくなるので、この時期以外は「ミドリ摘み」が成立しません。

3 必要な道具

手とゴミ袋です。手はあまり器用なものでなくても構いません。

しかし、松葉はチクチクするのになぜ、手袋をしないのでしょう。

 

それはやってみればすぐに判ります。

松脂でベトベトして手袋が使い物にならなくなるからです。

手は洗えば再生しますが、松脂の付いた手袋は再生できません。

 

4 ミドリ摘みの方法

では、実際の作業について解説します。

大きな松では、枝がゴチャゴチャして見づらいので、盆栽から地植えに下した小さな松(高さ50センチ程度、枝張りは40センチ四方ほど)を使って説明します。

マツの手入れ
ミドリ摘み前
黒松 新芽
ミドリ摘み後

大まかな作業の流れは

① 一か所あたりのミドリの数を二本~三本程度になるよう整理する。

② 残したミドリを短くする。

たったこれだけのツーステップです。 

 

①についてですが、

マツのミドリは一か所から何本も生えています。どれを残すのかの見極めが最大のポイント(難所)になりますが、基本的には枝がほしいところは残し、いらないところは元から取り除きます。

 

枝がほしいところというのは、他の枝がなくて寂しいところです。他の枝とのバランスを見ながら決めますが、難しくてよく分からないという場合、ほかの木の剪定と同じように、「Yの字」に新芽が残るようにすれば、だいたい格好が付きます。

 

②についてですが、

 

摘み取る量の目安はミドリ全体の長さの1/2~1/3です。また、いらないミドリは元から取り除いても問題ありません。

 

ケース1

 

 他に比べて元気が良過ぎるミドリは元から取り除きます。放置すると光と養分を独り占めして、全体の調和を乱すからです。たいていの場合、真ん中の一本は必要ありません。

 

 

クルリと回せば簡単に摘み取れます。左手なら左回転、右手なら右回転が普通でしょうか。優しくやるのがコツです。見やすいように長めに持っていますが、もっと短く持った方がやりやすいです。

 

 

両脇から出ている小さな二つのミドリが「Yの字」に残りました。

ケース2

 

ミドリがいっぱいあって、わけが分からない場合は・・・

 

元気の良過ぎるもの、混み合っているものを摘み取って「Yの字」に残します。

ケース3

 

残したミドリの長さが違う場合・・・

 

先端を指で摘み取って、

 

長さを揃えます。

ケース4

 

 

同様に、残したミドリの長さがバラバラで「Yの字」にならない場合です。

 

作業後はやや見た目が悪くなる箇所もありますが、ミドリ摘みは、木の姿を完成させるのが目的ではなく、今後に備えた段取りの一つに過ぎません。多少の割り切りが必要です。

 

 

 

こうした作業をひたすら繰り返すのがミドリ摘みです。

ミドリ摘みを行うメリットは、葉が開ききった後に比べると、やるべきことが明瞭で、比較的短時間で終わることと、剪定による屑が少なくて済むということです。

 

 

ちなみに今回の作業に費やした時間は15分程度で、剪定クズは御覧の量です。

 せっかくの新芽、捨てるのが可哀想という方は、コレを塩漬けにして食べることができるそうです。私は食べたことがありませんが、興味がある方は是非、チャレンジを・・・

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