真夏の植物園

ブラシノキ
ブラシノキ
ヤマナシ
ヤマナシ
アオハダ
アオハダ
サンショウ
サンショウ

夏の植物園は言うまでもなく暑い。

そして蚊や蜂などの虫が多い。

おまけに景色は単調である。

 

真冬と真夏は木々の活動が鈍く、春や秋に比べたら、劇的な発見は少ない。

 

それでも私は季節に関係なくあちこちの植物園へ出掛け、木々の微細な変化を楽しんでいる。これは趣味とよりも衝動であり、行かざるを得ないのである。

ヤマボウシの実が色づき始めている
ヤマボウシの実が色づき始めている

 

真夏の昼下がりや真冬の朝などは、広い植物園に自分しかいないということがよくあり、それはそれで楽しいものである。人がいないとかなり集中して樹木を観察できる。

 

しかし、夏休みの時期になると、事情は変わる。

小さな子供を連れた家族連れが植物園に大挙してやってくるのである。

彼らはいったい植物園にどんなイメージを持ってやってくるのだろうか。

「木陰が多くて涼しそう。」

「クワガタとかカブトムシがいたりして楽しそう。」

「きれいなお花がたくさん咲いてるんじゃない。」

「リスとかウサギとかがいたりして。」

勝手に妄想すると、こんな感じだろうか。

入場口付近では、テンションが高めの子供が多い。

これから始まる探検に心を躍らせているのだろう。

 

ところが入園して10分も経てば、その気持ちは萎える。

家より暑いし、喉が渇く。木陰でも風は生ぬるくて耐えられない。

そんなに花は咲いてないし、蚊に刺されるし、蜂がブンブン飛んでるし、

クワガタはいないし、遊ぶ場所もないし・・・。

もう、帰ろう。イオンでも行こうよ。

でも、お父さんは一人で頑張る。

奥に行けばなんかあるんじゃない?

ほら、橋があるよ。行ってみよう。

お母さんも仕方なくついていく。

これも情操教育なのだと自分に言い聞かせ、

嫌がる子供の手を引いて。

それでも現実は残酷であり、行けども行けども草と木しかない。

それはそうだ。ここは植物園なのだから。

温室もあるが、この暑さでは、とても入る気になれない。

最後に子供たちは言う。

「アイス食べたい。」

しかし、アイスクリームは売っていない。

「もう帰ろうよ、早く。」

 

そんな展開の家族を見るたびに、私は思う。

 

 

これでは植物園が嫌いになるはずだ。

なぜ、春に来てくれないんだ。

春なら百花繚乱で分かりやすいし、園内は花の香りで満たされており、蝶々も飛んでいるだろう。

 

でも現実は難しい。

花がきれいな春は人間の動きが慌ただしい。

入学、進学、人事異動・・・呑気に花を見ている場合じゃない。

そして、春の植物園にはお年寄りと外国人ばかりが目立つ。

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