初夏の三大花木

 ゴールデンウィークから梅雨にかけて咲く花のうち、私がもっとも気になるのは、ユリノキ、ホオノキ、そしてタイサンボクの三つだ。

 これらに共通するのは、やたらと花が大きいわりに、世間的にはあまり話題にならないことだ。

 話題にならない理由はおそらく、花が相当高い位置にあって、しかも上を向いて咲くため、意図的に観察しなければ目に触れないということにあるだろう。

 そんな事情がかえって私を惹きつけ、毎年この時期になると気にかけているのだが、今年はこの2ヶ月あまりで、三つすべてをどうにか撮影できた。


まずはユリノキの花


 かつて仕事で街路樹のユリノキを剪定したことはあるが、剪定は冬場に行うのがほとんどで、木に登って間近に見る機会はなかった。

 

 実際のところ、それほどキレイではないし、異国情緒たっぷりで、異様な感じさえするのだが・・・ 

 念のためにユリノキのプロフィールを紹介すると、北アメリカ原産の落葉高木で紅葉が美しく、葉の形が半纏に似ていることから「ハンテンボク」、花の形がチューリップに似ていることから「チューリップツリー」の別名があるというモノ。 百合の花に似ているかどうかは微妙なところだが、花弁のグラデーションからきているのだろう。撮影しにくい「高嶺の花」ではあるが、たまたま歩道橋の横に開花しているのを見つけることができた。



続いてホオノキ


 落葉樹でもっとも大きな葉は、昔から食物を包むのに使われ、「包」からホウノキになったというが、漢字では「朴」と表記される。

 この花もやたらと大きくてだらしなく、南国風ではあるが、原産地は中国と日本だという。

 木々が生い茂る夏場はあまり目立たないが、冬の雑木林の地面に、やたらと大きな枯れ葉を散乱させるため、見上げればそこにホオノキのあることが分かる。晩秋以降の葉は比較的火に強く、飛騨高山の名物「朴葉味噌」などに使われる。

 もう少し接近して撮影したいのだが、下枝に開花しているホオノキを見ることはほとんどない。先日、とある火葬場で背の高さくらいの位置に開花しているホオノキを見付けたのだが、とても撮影できるような状況ではなかった。



最後はタイサンボク


 街中で目にする機会は、上述の二つによりもはるかに多く、都会でもお寺や公園などで見かける。

 北米を原産とする木蓮の仲間で、「白蓮木」(ハクレンボク)という別名もある。花びらの大きさや形は異なるが、確かに白いハスの花に似ている。

 結構な大木にならないと開花せず、汚らしいピンクの出来損ないに終わってしまうこともあるが、背が低めの品種もあって、ユリノキやホオノキよりは鑑賞しやすい。タイサンボクの花は、その優雅な香りでも知られるが、香水のような香りを放つのは咲き始めだけ。一輪一輪の花期は短く、香りを堪能するにはタイミングが難しい。

 

 以上、勝手に初夏の三大花木として記したが、どれもこれも観察するには首が痛くなるし、繊細さや可憐さとは程遠い。キレイともいい難い。それでも毎年探してしまうのは、もしかしたら「お宝探し」に似た感覚なのかもしれない。

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